2009年2月17日火曜日

専門家にポジションの考え方を聞いてみた。

専門家にポジションの事を聞いてみました。
今日はその抜粋をご紹介です。
少しお話が長いですが参考まで。
自転車のポジションについては、いろいろな考え方があると思う。ポジションを出す具体的な方法については、雑誌や本などによく載っているが、その「基本的な考え方」について書いてあるのはあまり見たことがない。

■ポジションはまず「見た目」である
 とりあえず、乗り始めの頃のポジションは「見た目」であると思う。まだ距離をこなしていない時期に、自分の感覚で細部にこだわるのはあまり意味がないような気がする。例えば、クルマの免許をとって間もない人間が「フィーリングが合わない」と言ってハンドルやシートやホイールを替えたり、こまごまとポジションを変えるのはちょっと違うだろう。自転車はクルマに比べ、そういったパーツを替えやすかったり(値段的に安いので)するので、細部にこだわりがちになってしまうが、それは大きな目で見るとあまり意味のないことであると思う。細部にこだわない「見た目のポジション」を決めるのも実は簡単ではない。他人の目で見てもらったり、鏡により自分で確認したりしなければいけないからだ。この「見た目のポジション」が、この先にある「自分なりのポジション探し」と決定的に違うのは「他人の感覚(アドバイス)」で決定できるというところである。要するに、自分の感覚に頼らず、他人もしくはハウツー本の情報のみで作れる(作らなくてはいけない)ということである。もちろんこれは「真のポジション」ではない。また、人によっては、この段階でポジション探しは終了してしまうことも在り得る。なぜなら、ポジション探しとは「練習」を伴うものだからだ。
 見た目のポジション →→→→→→ 練習の壁 →→→→→→ 自分なりのポジションというように、練習がないと「見た目」の段階から先にはいけない。ラクなポジションでラクに走る」とよく言われるが、その「ラクなポジション」を身につけるためには練習が必要であり、その練習はラクではないということである。
ポジションとは「出力」「空気抵抗」「重量配分」あくまでも私の考えだが、ポジションは「出力」「空気抵抗」「重量配分」の3つに分けて考えると良いと思う。出力とは「踏みやすさみたいな」ことである。はっきり「踏みやすさ」と書かないのは、ペダリングは「踏む」だけではないからだ。踏みやすさだけを考えたポジションでは、なかなかアレなんじゃないかと思う。(このことについては長くなるので、とりあえず省略)空気抵抗とはその通り、乗車中に受ける風の抵抗のことで、これは少ないほうがよい。が、体形により、そのような姿勢を保てるか(保ちやすいか)どうかには個人差があるので、「出力のしやすさ」を犠牲にしてまで空気抵抗が少ないポジションにしたほうが良いか?については考えるべきことである。例えば、ヒルクライムでは「空気抵抗」より「出力」を優先させるべきだし、上体をある程度起こしたままでも前走者にすっぽり収まるようなカラダの小さい選手は、独走で勝負をするのでない限りやはり「出力」を優先させるべきかもしれない。まあ、空気抵抗の少ないポジションは理想であるので、できる範囲で少しずつそれを目指すのは当然ではあると思う。重量配分とは、乗車時に「車体+自分」の重心がどこにあるか?ということである。これについて私はあまり詳しくはない。標準的な体格であればあまり考える必要のないことかもしれない。大事なことは、この3つを同時に満たそうとすると訳がわからなくなるので、一つずつ分けて考え、解決していくことである。
■とりあえず「出力」を固める
先ほどの3つの中で、まず大事な要素は「出力」である。きちんとマニュアル通りに「見た目のポジション」をつくっていれば、他の2つ(「空気抵抗」と「重量配分」)については当分考えなくても良いと思う。「出力」を固める際に重要なのは「サドルの高さ」と「サドルの前後位置」である。ちなみに、サドルの角度は水平にする。水平にして尻が落ち着かないときでも、すぐにサドルの角度を変えたりはせず、どこか他に原因がないか探したほうがよいと思う。「明らかに前下がり又は前上がりに見えるサドル」に乗る選手はほとんどいない。
■ハンドル位置について
 サドルの位置が重要だと書いたが、ではハンドル位置についてはどうだろうか?私なりにだが考えてみた。まず、「出力」を固める際に重要なのは「サドルの高さ」と「サドルの前後位置」であるので、その2点に神経を集中させ、ハンドル位置については無視すればよい。気にならない人は、まったく気にならないものだろう。とはいえ、気になる人もいるかもしれない。まあ実は私にもハンドルの位置について、考え始めるとキリがない時期があった。1センチ上げたとか下げたとか、コラム切り過ぎたとかステムを買わなきゃいかんとか。(今になって思えば「出力」が固まっていないので、ハンドルの方に気がいっていたんじゃないかと思う)だが、ハンドル位置について極端に言えば「どうでもいい事」である。「ハンドル位置」と書くと間接的なので、もっと具体的に書くと「手の位置」はどうでもいいという事だ。例えば、床の上に立って自転車に乗っているポーズをとってみた時(もちろん自転車には乗らず、自分の脚で床の上に立っているだけ。ヒザを曲げ、背中を丸め、手を前に出してみる)、前に出した手の位置を1センチ上げたり下げたりしてみて、何か足腰の感覚が変わるだろうか、または、変わりそうだろうか?想像してみると、特に変わり無さそうである。手がどの位置にあろうと「出力」自体にはあまり関係ないように思える。では、ハンドルの位置(手の位置)とは何なんだろうか?簡単に言うと、ハンドルの位置(手の位置)は、どの程度の体重が手に掛かるかということと関係がある。ハンドルの位置が遠いほど手に体重が掛かるとか、そういうことである。ここでちょっとイメージの確認をしておく。自転車とそれに乗る自分を考えた場合、自転車に触れている部分というのは3箇所ある。ペダルとサドルとハンドルである。(イメージしやすく言うと「足の裏」と「お尻」と「手のひら」。ちなみに私の感覚は「お尻」というか「股間」というか微妙なところである。人によって違うのではないかと思う)言い方をかえると、この3点のみで自分の体重を支えていることになる。3点のうち、ペダルについては、チカラを入れて漕いでいるとき以外はあまり体重が掛かっていない(実際乗ってみればわかる)ので、体重が掛かる部分は主に「手のひら」と「お尻」ということになる。この2箇所に掛かる重さは、ハンドルの位置により変化する。
 ハンドルを近くしていく → 「お尻」に体重が掛かるようになる
 ハンドルを遠くしていく → 「手のひら」に体重が掛かるようになる
 要するにハンドル位置とは単純に「手のひらに、どのぐらいの体重を載せるか」ということである。初めのうちは、腹筋とか背筋とかの話はとりあえず置いておいて、まずは自分がまともにペダリングできるぐらいの近さにハンドルをもってくるといいと思う。ハンドルの位置とは、このようなことであるが、関連して、あまり雑誌などでは書かれていなくて、私が大事だと思うことがある。それは「上半身(ヘソ辺りから上)が重い人は、より「手のひら」に体重が掛かりやすい」ということである。マニュアルどおりのセッティングをしたのに、不自然なくらい手のひらに体重が掛かるときは、ハンドル位置を少し近くしたほうがいいだろう。雑誌などで、個々の体型の違いによるベストポジションの違いについてあまり言われていないのは、教える側に、いろんな体型の人がいないからではないかと思う。BR-1で活躍するような選手の体型はみな上半身は引き締まって、腰周りから太ももにかけてキッチリと筋肉がついたような体型である。
*BR-1は、全日本実業団自転車競技連盟主催のレースの事です。
http://www.jbcf-net.org/guide/2008race.htm

0 件のコメント: